教科・日本語・母語相互育成学習モデル

「教科・母語・日本語相互育成学習モデル」とは

岡崎(1997)によって提唱された、日本語を母語としない子どもたちのための学習モデルです。このモデルは、子どもの来日当初から母語の助けを借りながら教科学習を進め、子どもの母語、日本語、教科のどの面の力も伸ばしていこうというものです。

教科/母語/日本語の相互育成のねらい

1. 母語の助けを借りて教科書や授業の理解を進めながら、学習に必要な日本語を学びます。

2. 学習に必要な日本語を学ぶために母語を使い続けていくことにより、母語を保持育成します。

3. 学習のために母語や日本語を使って学ぶのと同時に、教科書の単元毎の学習を進めていきます。

具体的な手順

支援者が、単元全てを母語で訳したものを吹き込んだテープや単元内容の要約文、ワークシートなどを前もって準備しておきます。子どもはそれらを用いて、父母や他の母語話者、日本語話者と共に、あるいは一人で、単元の内容を予習し理解しておきます。これにより、母学級で耳にする先生の説明内容やクラスの友達の発言内容などが、予習をしない状態で耳にするより、理解しやすくなります。

この学習モデルは、子どもの教科・母語・日本語の能力を相互に育成することだけでなく、 海外からの子どもと日本の子どもの心の育成も目指すものであります。例えば、違ったものの見方や感じ方の素晴らしさを肌で感じること、今の自分をありのままに出して人と接することの大切さを知る場を設けることを図っています。

《参考文献》岡崎敏雄(1997)「日本語・母語相互育成学習のねらい」『平成8年度外国人児童生徒指導資料母国語による学習のための教材』茨城県教育庁指導課